キルシュバーム Super Smash

　　　

ポリエステル

　クチェラをはじめ、ベースライナー系のハードヒッターに好まれるのがこのポリエステル・ガットです。
　フォアハンド・ストロークを打たせたらこの人の右に出る人はいないと言われるカルロス・モヤは、バボラのポリエステル・ガット=ポリビートを使用しています。
　クレーコートで大活躍のクエルテン、ノーマンは、ポリエステルの中では柔らかいといわれるルキシロンのアルパワーです。かつて SuperSmash を使用していたアラジもアルパワーに乗り換えたようです。

　ガットにサクランボのステンシルマークが付いている選手を見かけたら、それがこの SuperSmash です。プロのツアーでは最近とても多く見かけます。ATP ランク 100位以降の選手では４人に一人はこのガットではないかと思えるくらい人気があります。

　ポリエステル・ガットの特徴は、ちょっとやそっとのことでは切れない耐久性です。ガットが一日で切れてしまうような人にはもってこいのガットです。
　耐久性に富んでいるだけに、1.2mm といった細いゲージにしても十分な耐久性を持っています。細くできる分だけ、食いつきの良さが発揮されると言うメリットがあります。
　しかし、耐久性はあるものの弾力性の少ないガットですので、へたりが来るのも早いようです。ですから切れないからと言って何ヶ月も放っておいては、いつの間にか手が飛ばないガットになれてしまい、プレーに悪影響を与えてしまいます。

　振ることに最適のガットの宿命として、タッチ系のショットには全くむいていません。ボレー主体のプレーヤーや、スイングスピードの遅い人はこのガットを試打する必要はありません。

　張る前のガットをさわってみれば一目瞭然ですが、非常に硬い素材でできています。よくガットのことを糸と呼びますが、ポリエステルの場合、糸と呼ぶよりは棒と呼んだ方が表現的に適切と言えます。5cm 程度に切り取ればつまようじとして使用できるかもしれません。

　初めてポリエステルを張る場合にはそのテンションの指定に注意する必要があります。例えばマルチフィラメント系の柔らかいガットに比べて、5～15%程度低いテンションを指定すれば同じくらいの飛びに仕上がると思います。

　初めてポリエステルを張るストリンガーにとっても注意が必要です。その堅さゆえに切り口で怪我をする危険性があります。いつものガットと同じ調子で勢いよくガットを手繰り寄せたりすると非常に危険です。初めはゆっくりと手繰り寄せて下さい。（ガットメーカーはその辺のアピールを怠っていると思います。目を突いて失明してからでは手遅れです。）
　それから、張力をかけても伸びが少ない分、ガットを長めに用意する必要があります。私の計算では、1.2mmの糸で、3～5％長めに用意すればＯＫです。60-lbs で張るとしたら 3%、40-lbs で 5% が目安です。1.3mmの糸だと、プラス1～2%必要です。

　

　SuperSmash SPIKY というガットは、ノーマルの SuperSmash の表面に凹凸を付けることによって、よりよい食いつきを得られるような構造になっています。ポリエステル素材の表面があまりにもなめらかすぎるために、このような凹凸が付けられたものと思われます。なぜかその分、価格も高くなっています。

この凹凸がすぐ消えてしまって評判が良くない場合もあります。

　

◇ Impression by Yokoyama ◇

　私が初めてこのガットを使用したとき、今まで張っているナイロンガットと同じテンションで張ってしまい、
「こんなガット硬くて使いものにならないよ！」
と感じてしまいました。
　ところが、ナイロンよりテンションを落とした方がよいということを知って、10% 落として張ったところ、とにかく今まで経験したことのない感触に驚きました。

　とにかくラケットを振れば振るほど相手コートに入ってくれるんです。ですからアウトが恐くて思いきりスイングすることを躊躇してしまっている人がいたら、このガットで突破口が開けるかもしれません。とにかくこのガットを張ったら思いきり振りまくって下さい。

　ラケットを振ることに適しているということは、当然、ラケットを振らないショットには全く適していません。ガットのど真ん中にあたらない限り、ボレーで絶妙なコントロールを見せることは不可能です。しかし、自分のボレーを矯正するためにはよいかもしれません．．

　

SOHO ストリンガー/横山

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ソーホーストリンガー